2008年08月23日

蕾 第四五話


  「そろそろ帰ります」

 顔をあげた達彦が言った。
 私は言っている意味がわからなかった。

 首を少し右に傾け、わからない意思表示をすると

  「食事に行くって言いましたよね。そろそろ行かないと間に合わないから」

 やっぱり意味がわからない。

 今までこの男は、私の性器を必死に舐めていた。
 夏の暑さに蒸れた場所を抵抗なく舐めれるのは、欲情以外に何でもないはず。

 しかし、
 その欲情を堪えて、家族との食事に行こうというのか。

 首をかしげる私に達彦は

  「麻衣子、時間にうるさいんですよ」

 まただ。
 また妹。

 妹が拗ねるという理由で、今からペニスを挿入というチャンスを棒に振るのか?
 それとも、
 家族団欒よりも、私のヴァギナへの挿入は容易い出来事なのだろうか?

 怒りが込み上げてきた。

 決して挿入して欲しいのではない。
 勿論、
 この男にクンニして欲しくて、体が疼くわけでもない。

 夜の街角にでれば、もっと丹念にクリトリスを愛撫してくれる女はいくらでも居る。
 この男の行動は、私と私の身体を愛してくれる女達を冒涜してる。

  「今日もこれで終わりって、正気?」

 私の声がヒステリックになっている。

  「どうして?玲子さんはこれじゃ不満?」

  じゃあ、あなたは満足?

 と聞き返したかったが、それは私があたかも

  挿入して欲しい

 と懇願しいるようで、辛うじて高まる感情を押し殺し

  「普通はここまで来たら挿入したがるでしょ」

 金切り声の私に、笑みさえ浮かべて

  「ふつう?普通ね・・僕の普通はこれで十分ですよ」
  「玲子さんの濡れるアソコを目一杯舐める。それで十分です」
  「玲子さんも、それがいいんでしょ?」

 投げかけるような言葉に

  「レズビアンなんだから挿入を望まないでしょ」

 と言われているようで、頭に血が上った。

 〜つづく



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haruhara1 at 22:56 │Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!【小説】 宵待譚 

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